【自惚れてもいいのかな】

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【自惚れてもいいのかな】

久しぶりに、思いっきり土を蹴った気がする。 足の裏に確かな感触を感じ、風を切って、ただ前へ。 走ることへの迷いは遠いどこかへ吹っ飛び、代わりに勇気が舞い込んだ。 インターホンに出たのは、案の定康介ママだった。 私を笑顔で迎え入れてくれた康介ママに感謝しつつ、躊躇うことなく見慣れた扉の前に立つ。 物音は一切しないけど、気配はする。 大丈夫。 もう逃げない。 「康介、入るよ」 ドアノブに手をかけ返事を待たずに扉を開くと、ふわりと彼の匂いが鼻をくすぐった。 ベッドに寝転び、こちらに背を向けている康介。もう頭の包帯はとれている。 私の訪問に気付いているはずなのに、彼が振り向く気配はない。
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