【自惚れてもいいのかな】

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「康介のこと、信じてるよ」 目線を下げたまま、康介はもう私を見ていなかった。 ただ、喜怒哀楽全てを含んだような目で、フローリングを睨みつけていた。 リョータの想いを凌ぐ言辞を見つけられない今の私が、これ以上ここにいても無意味だ。 きっと康介は、ひとりで考える時間を要している。 考えて考えて、ちゃんと答えを出す強さを、彼は持っているはずだ。 「じゃあね」 一度だけ視線をやり、それからはもう振り向かなかった。 振り向けなかった、というほうが正しいのかもしれない。 ホームルームが始まる前、いつものように朝練を終えた私は、康介のクラスを覗きに行った。 が、相変わらずその席はぽっかり空いたまま。 「……ダメか」 一緒に様子を見にきた南山も、がっくりと肩を落とす。
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