【自惚れてもいいのかな】

7/12
前へ
/386ページ
次へ
……大丈夫だよね。 私が康介にぶつけたのは、リョータがくれた言葉。 それは薄っぺらい理想なんかじゃなくて、実際にリョータを救ったものだもん。 大丈夫だ、とひとつ頷いて、便箋を再び封筒に仕舞った。 休み時間、再び康介のクラスに向かった。 すれ違う友達と適当な挨拶を交わしながら教室の中を覗くけど、ぽっかりと空いたままの机。 「…………」 ダメかぁ……。 がっくりと肩と視線を落とした時、誰かが「あ」と呟いた。 刹那、頭を後ろから叩かれる。 「なっ……!」 後頭部を抑えて勢いよく振り返ると── 「なんつー顔してんだよ、ちづ」 息が、止まるかと思った。 心臓を鷲掴みにされたみたいだった。 そこに立っていたのは、帰りを待ち望んだその人だったから。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加