【君と同じで】

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友達に対して、わざわざ繕う必要ないもんね。 テスト返却が行われるその日。朝練を終えた私は上履きに履き替えた後、鞄から手紙をそっと取り出した。 ローファーを出来る限り奥に押し込んで、周りに人がいないことを確認してから一番手前にそれを置く。 なんか、緊張するなぁ。 私からリョータへの手紙は二度目だけど、初めての時は勢いのままに書いて、ここに入れたから。 今回はちゃんと封筒にも入れてるけど、前はノートを千切っただけの紙だったし。 「ちゃんと届けてね、靴箱ポストくん」 扉を閉じ、ぽんと叩いてやる。 リョータが自発的にここを開かなければ届かないからこその願いだった。 ショートホームルームが始まるまでの時間、いつものように机に顔を突っ伏して目を閉じた。 私が朝早く学校に来て走っていることを知っているので、友達はみんな起こさないでいてくれる。ありがたい。
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