【初めまして】

5/10

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「まぁ、そうなんだけどさー」 もう。バレバレですよ、康介さん。 「怒られても知んないからね」 「大丈夫ダイジョーブ。南山にはもう呆れられてるから」 自信満々に言うとこじゃないよ、そこ。 私としては沈みかけた気持ちが戻ったから、ありがたかったけどさ。 「週末試合でしょ? いいの? そんなテキトーしてて」 「お前、心配しすぎ。俺を誰だと思ってんの」 「中間テスト7欠の長谷康介くん」 「言うなよそれを……」 がっくりと肩を落とした康介に、私はケラケラと笑う。 こういう、遠慮ない関係って心地いい。 私も康介も、お互い知らないことなんてないんじゃないかなぁ。 「……あ」 思わず声を上げた私を、康介は怪訝そうな目で見る。 康介なら、あの手紙の差出人がわかるかもしれない。 だって、ずっと一緒にいたんだもん。 私が“リョータ”のことを忘れているだけで、本当は繋がりがあるのかもしれない。 そう思って、康介に尋ねようとした時。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加