【初めまして】

6/10

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「長谷ー!」 グランドの向こうから、南山が康介の名前を呼んだ。 語尾に怒りマークがいくつかついてそうな声色で。 「やっべ」 「ほら、王子様が迎えに来たよ。早く戻りなさーい」 「王子とか気色悪いこと言うなよ」 げんなりした康介が、私の頭をわしゃわしゃと乱す。 あー! せっかくポニーテールにしてたのにー! 「もう! 早く戻って怒られろ、バカ!」 「ハイハイ、戻りますよ」 ボサボサになった頭を押さえて、歩いていく康介の背中を睨む。 ったく、相変わらずバカ康介。 でも……うん、元気出たや。 「相変わらずラブラブですねー、先輩達」 後ろからひょこっと姿を見せたのは、タイムを測っていたはずのトモちゃん。 い、いつの間に……。 「ラブラブとかそんなんじゃないよ」 「えー。醸し出す空気、もはや夫婦でしたよ」 「夫婦!?」 「みんな言ってますってー」 狼狽える私をよそに、トモちゃんはケラケラと笑う。 うーん、ほんとにそんなんじゃないのになぁ……。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加