母子

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綾子十五歳、あたしのはじめての男はおじさんだった。おじさんといっても白髪はなかった。染めてたかは知らない。そのころあたしの中では白髪のあるなしがおじさんとおじいさんの違いだったから、もしおじさんが染めてからあたしにあっていたのなら、ちょっとやり手だったのかもしれない。おじさんは、(おじさんの名前は忘れちゃった)いつも優しかったし、リードしてくれた。いつも車で迎えにきてくれて(それも、素人のあたしが見ても分かる高級車)、他の子が食べたことないような高そうなご飯を食べさせてくれた。おじさんはあたしが住んでるあたりまではきてくれない。だって、あたしが住んでるあたりに、おじさんのあの赤い大きな車が来るのは不自然だったし、あたしはちょっと若すぎた。おじさんとは別に親にバレて面倒事を起こしたりしなかった。いつの間にか会うことがなくなってしまった。自然消滅ってこと。それがどっちからか切り出された、原因があったとかはないと思う。ただ、なんとなくお互いに少しずつ飽きちゃったんだと思う。あたしは実際おじさんのつれていってくれるお店のご飯の美味しさは全然わからなかった。
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