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咲子二十三歳、おばあちゃんとおじいちゃんに彼を紹介した。おじいちゃんは普段とあまり変わらなかったけれど、おばあちゃんは泣き崩れてしまった。やっぱりあの子の子どもだ、と机に泣きついていた。彼がおばあちゃんの介抱をしようと近づいたとき、おじいちゃんがさっと、間に入っておばあちゃんを奥の部屋へ連れ出した。なんだおじいちゃんも認めてくれないんだ。お母さんと私は違う人間だし、関係ない。勝手にヒステリーを起こされて、私も彼もなにも言えなかった。私は彼を連れて家を出た。それから帰ってない。家には私のお気に入りのコートがあったのだけれど、忘れてきてしまった。今年の冬までには時間がある。彼と冬になる前に買いにいこう。そう、これから始めればいい。
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