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立川さんがアナウンス部から異動してきて一か月。
主任の須藤美枝子、35歳。
入社して12年、総務部の中の女性の中ではベテランになるだろう。
小学生1年生の息子さんがいるらしく、やたら自分は子供を理由に欠勤や遅刻早退するが、主任という立場を利用して、人の勤怠には厳しい。
「吉本さん、また体調不良で休みなの?ったく今の若い子は、仕事をなんだと思ってるのかしらね」
須藤さんの皮肉が総務部に響き渡った。
こういう上司がいると仕事がやりずらし、職場の雰囲気も悪くなる。
若い女性社員が、退職していくのが自分が原因だと気づかないからタチが悪い。
「立川さん、言っおいたコピー100部終わりました?」
言っておいたって10分前に言っておいたのに、いくら100部は終わらないでしょう。
「申し訳ございません。今やってます」
立川さんは、コピー機の前で言った。
「コピー機が自動でやるのに、何分かかってるの。遅いわね」
主任は欠勤者がいるから、仕事が回らないからかイラついて、異動してきたばかりの立川さんに強く当たっていた。
「ほんとにアナウンス部も若いアナウンサーが増えたからって、使えない人を総務部に異動させなくてもいいのに」
使えないって、立川さんは畑違いの部署から異動してきたわりには、言われた仕事をきちんとやってるのに、悪いが須藤主任より勤怠はいい。
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