15人が本棚に入れています
本棚に追加
3兄弟は、そろって床に目を落としている。
その横で、さゆりだけがギュッと眉根を寄せて、彼らを見つめていた。
「あの……」
「悪いね、さゆりちゃん」
とアキが言った。
「外しててもいいよ」
「いえ……じゃなくて、あの」
「コウ、そっちも見せてくれ」
「うん」
「じゃあハル、それ貸して」
「はい」
メモを交換し合い、再び読み始める。
「えっと……」
さゆりだけが、1人モジモジしている。
何とも言えない空気、部屋の中はシンと静まり返ってしまった。
トットッ。
ヒタヒタ。
「母ちゃん……」
アキがつぶやいた。
瞬間、部屋の扉がバターンと勢いよく開いた。
「ちょっと、あんたたち! 何で勝手に私が死んだみたいな風に話してるのよ!」
3兄弟は、そろってすっとぼけた顔。
「……ですよね」
ただ1人、引きつった笑いを浮かべるさゆりであった。
最初のコメントを投稿しよう!