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「全く……くだらないことしかしないんだから、あんたたちは」
ドアにもたれかかり、ため息まじりに母はつぶやいた。
「何となく、そういう流れができちゃったんだよ。なあ」
とアキが言う。
「うん」
「そう」
続いて、弟たちがうなずく。
「だからって、もう……。いつ、どうやってツッコもうか、ずっと考えてたんだから」
さゆりがコウをにらみながら言った。
「てか、さっきの回想は何だったの?」
「あれは、うちのじいさんが亡くなった時の回想」
代わりに母が答えた。
「あっ……シーン自体は実在したんですね……」
「もう、ご飯出来てるんだから。早く降りてきてよ」
母はため息まじりに言った。
「お父さん、待ちくたびれてるよ」
「ほう、大麻家には父親もいる設定だったんだな」
アキがのんびりと言った。
「だから、そういう変なこと言わないの!」
言いながら、母は部屋に入ってきた。
「ほら、立って! 下行ってなさい!」
「うーい」
3人はダラダラと立ち上がり、ぞろぞろと部屋から出て行った。
「はああ」
母は盛大にため息をつくと、床に散らばったままのメモを、拾い始めた。
ふと、1人残っていたさゆりと目が合う。
「あっ……」
さゆりが小さく声を上げた。
「あの、」
「ごめんね」
母は小さく笑った。
「笑っちゃうよね、いくつになってもあんなだもの。小学生みたい」
「ええ……確かに、無邪気と言いますか、何と言いますか」
さゆりもつられて、困ったように笑った。
「1人でも大変だけど、3人集まると強烈なの。昔からそう」
「でも、仲はいいですよね」
「そうね、仲はいい方かもね」
さゆりは、気になっていたことを尋ねてみた。
「あの、お母さん」
「何?」
手を止めて、さゆりを見る。
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