第一章 そんな日もある

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「それじゃあ、また明日な」 「うん。今日はゆっくり休んでね」  湊の家は、道路を挟んで私の家の向かい側にある。  小さい頃から家族ぐるみで交流があって、互いの家を行き来することもしょっちゅうだった。  私は玄関の扉に手をかけて、湊の家の扉が閉まるまで待った。  何も意味はないけど、なんとなくいつもそうしている。  湊の姿が完全に見えなくなったのを確認して、私も家の中に入った。  扉を開けた瞬間に漂ってきたいいにおいに、私の頭は一瞬で食事モードに切り替わった。 「ただいまー」 「おかえり。すぐにご飯にするから、早く着替えてらっしゃい」 「はぁい」  リビングにはお母さんもお父さんもいて、お母さんが夕食の準備をしていた。  今日のメニューは私の大好物のカレーだ。  自分の部屋に入り、カバンを置いてカーテンと窓を閉める。  窓からは湊の家の庭が見えて、そこにはバッティング練習用のネットがある。  制服から部屋着に着替えた私は、すぐにリビングへと向かった。  すでにカレーが食器によそってあって、あとはもう食べるだけの状態だった。
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