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「いただきます!」
あいさつとほぼ同時に食べ始めた私に、お父さんが「よく噛んで食べなさい」と言った。
そしてお母さんは「おかわりは自分でしなさい」と言う。いつもの光景だった。
私が二杯目をよそって食卓に戻ると、お母さんから声がかかる。
二杯目はそんなにがっついて食べることもないので、話をしながらになる。
「今日の試合はどうだったの?」
「それがねー、もう完敗。みんなもすっごく落ち込んじゃった」
「湊くんが打たれちゃったってこと?」
「そう。あいつも珍しくへこんでた」
両親は湊がエースピッチャーであることを知っているし、今日の試合の相手が強豪校だったということも知っている。
「そしたら、今夜もきっと練習するんだろうな」
お父さんが続いた。
お父さんの言う通り、湊はきっと夜にバットを振る。
帰り際に私が言った「ゆっくり休んで」という言葉はきっと届かない。
それからしばらく、今日の試合についての話をした。
相手の打線のこと、うちの守備のこと、基本的に分が悪い話ばかりになってしまう。
話しているうちに悔しさが込み上げてきた。
プレイヤーじゃないけど、私だってチームの一員なんだ。悔しくないわけがない。
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