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「外角低めのストレート」
「……え?」
お兄ちゃんが何を言っているのかわからなかった。
ううん、言葉そのものは理解できるけど、何が言いたいのかがわからない。
というか、その先に続く言葉があるものだと思った私は、しばらく何も言わないでいたのだけど、お兄ちゃんはそれきり何も言わなかった。
「……ど、どういうこと? それがどうしたの?」
結局私が折れる形で質問した。
こうしている間も紅白戦は進んでしまう。
記録をつけなくちゃいけないけれど、この話をスルーすることもできない。
「ピッチングの基本であり、極意だ。外角低めのストレートで、いつでもストライクが取れるようにならないとダメだ」
どうやら特定の場面について話をしているわけじゃないらしい。
確かに湊は、細かなコントロールよりも力で押すタイプだから、調子の良し悪しに左右されがちだ。
「それと、ピッチングのリズムが一定になってる。球種で緩急をつけるだけじゃ、三周りもすれば捕まるぞ」
緩急は二人が課題に挙げていたものだ。
それでカーブの練習をしていたし、今日も何回か投げていた。
相手バッターの反応を見た感じでは、効果的に使えていたように思っていたのに、お兄ちゃんからは厳しいダメ出しが入ってしまった。
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