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「み、湊」
「どうした? そんなに慌てて」
一年生と一緒にグラウンドの整備をしていた私だけど、湊がグラウンド外に出るところを見つけてすぐに追いかけた。
部室に向かう途中で捕まえたけど、不自然に呼び止める形になってしまったので、他の部員からも注目されてしまった。
「お、お兄ちゃんが」
「え、来てたのか?」
私の少ない言葉で状況を理解してくれた湊は、さりげなく部室までの道を外れて話を聞いてくれた。
遥人も混ぜて三人で話したいところだけど、お兄ちゃんのことをどう説明すればいいのかわからなかったので、そのことだけ湊に相談したかった。
「遥人なら大丈夫だと思うぜ」
「そ、そうかな?」
「お兄さんのことは知らないだろうから、信じるとか信じないとかは置いといて、野球の話なら絶対に興味を持つだろ」
「わかった。じゃあ、私はベンチで待ってるね」
それだけ話して、私は再びグラウンドに戻った。
私には練習が終わってからしなきゃいけないことがいくつもある。
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