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第一章 そんな日もある
四月の最初の日曜日。
私たちは、学校のグラウンドにいる。
春休みの最終日である今日は、これまでの練習の成果を試す練習試合があった。
相手は地元の強豪校で、夏の大会を見据えての大事な一戦だった。
相手にとって不足なし。
みんな練習も本当に一生懸命やっていたし、自分たちの力を出せれば勝てる。そう信じてた。
だけど、結果は一対八で完敗。
気合が空回りしたとか、ツキがなかったとか、そんなんじゃない。
誰が見てもわかるくらい、力の差は歴然だった。
学校に戻ってからミーティングをして今日の反省をした。
みんな疲れて元気がなくなっていたし、いつも元気な監督の叱咤激励も、あまり響いていないような感じだった。
最初から最後まで静かな、それこそお通夜みたいなミーティングも終わって、今日は解散となった。
それでも、すぐに家に帰るような気分にはなれなかった私たち。
居残り練習をするでもなく、ベンチに座ってグラウンドを眺めていた。
「もうちょっと、やれると思ったんだけどな」
そう言ったのは、エースとして今日の試合に登板した相羽湊。私の幼馴染。
「そうだな。しかし正直、何が足りないのかが、全然わからねぇ」
そう答えたのは、正捕手を務める望月遥人。湊の親友。
「でも、三回までは抑えられてたじゃない」
二人が何も言わなかったので、私が声を出した。
私の名前は庭坂琴葉。御崎台高校野球部のマネージャー。
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