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「このタコ‥‥ホンマに心配しとったんやからな」
「ありがと。‥‥って泣くなよ。僕が泣かせたみたいじゃないか」
姉ちゃんは、僕の胸に顔をうずめて泣き出していた。
「グスッ‥‥泣いてへんわ! で、アンタ、今何しとん? 無事やったらウチの村に顔出すんがスジちゃうか?」
慌てて後ろを向き、目の辺りをこすってる。
「さらわれてからは奴隷生活で、抜け出したばっかだよ。で、姉ちゃんの村に向かう道すがら、この街の伝手を頼って、船を借りようと思ってさ」
「船? どっか行くアテあるん?」
「故郷に、親父の死を知らせるのも役目だからな‥‥ってか、姉ちゃんが此処に居るって事は、村に行ってもスレ違うトコだったじゃねーかよ」
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