第1章 山水神村の竜族

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「神(かん)ちゃん!大変だあ!金村が来たぞ!」 神田おじさんと神田おばさんの表情が変わる。 「今行く!」 神田おじさんは立ち上がり 「楽、ごめんな。ちょっと用事が出来たのじゃ」 神田おじさんが家を出ていった。 神田おばさんは話を切り替えた 「楽ちゃん。麦茶を飲んでね。美味しいわよ」 「ありがとうございます。」 「楽ちゃんは高校に行かないの?」 「うん。僕はここで皆と一緒に居るよ」 「それは私達も嬉しいけど・・・」 神田おばさんは口ごもった。 神田おじさんの事が気になったけど、その後も麦茶を飲みながら歴史の本を読み続けた。 結局、夕方になっても神田おじさんは帰って来なかった。 「楽ちゃん。もう陽が暮れるから帰った方がいいわよ。お母さんが心配するわ」 「そうだね。明日から学校だから帰るね」 僕は神田おじさんの家を出て自宅に向かった。 僕の家と学校のちょうど中間にある神田家だが、僕の家までは1kmぐらいある。 陽が暮れ始めているので、急ぎ足で自宅へ向かった。 すると道端から夕陽の灯に照らされて反射しているのか、道端で光り輝く物を見つける。 その光が目に突き刺さる。 「眩しい!」 僕は右手で、その光を遮る。 「何だ?」 その光が放たれている4,5m先に歩み寄る 光が照らされている物体を拾う。 「石?」 直径5cmぐらいの球の小さな石を拾う。 普通に考えればこの石が光を反射させる事等は考えられないのだが、この時はそんな疑いすら持つ事は無かった。 しかし、手に持つと光は発しなくなり、僕は石を夕陽に照らしてみるが光らない。 半分以上山影に隠れてしまった夕陽を見て 「太陽が隠れたから光らないのか?取り敢えず家に持って帰って、明日試してみよう!」 僕はその石をポケットにしまい自宅まで走った。 自宅の前に辿り着くと、陽は暮れていて門灯が点いていた。その門灯に照らされて、いかにも高級車だと分かる黒く大きな車が家の前に停まっている。 「すげえ~」 窓から中を覗くが、びっしりとスモークが張ってあって中が見えない。 僕は無言で車を通り過ぎて家に入っていった。 「ただいま」 「さっさと帰れ!」 神田おじさんの声が居間の方から聞こえてきた。 「お前達には関係無いだろ!これは俺と詩音との事なんだから」
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