マイ・クール・ラバー

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 食い入るようにメニューを見ていたから、店員さんが来ていたことに気づかなかった。肉食べたいとか、メニューガン見とか、恥ずかしいことばかりしている気がする。取り繕って返事したけど、食い意地張ってる女ってイメージがもうついてしまっただろうな。  カフェラテをひと口飲むと、ミルクの優しい甘みが口いっぱいに広がる。店内の雰囲気も、店員さんの気遣いも、カフェラテの温かさも、全部優しくて。落ち込んでいた気持ちはハンバーグを食べる前にすでに吹き飛んでいた。寧ろ、ハンバーグのことしか考えられない。  じゅうじゅうと鉄板の上で焼いている音が聞こえ、食欲をそそる匂いもしてきた。口の中に唾が溜まる。無意識に厨房を見つめていたら、店員さんが出てきて目が合ってしまった。目を逸らすのも失礼な気がして、軽く会釈をしてからテーブルの上を片付けた。 「おまたせしました。熱いので気を付けて召し上がってください」 「いただきます」  熱々の鉄板の上で、デミグラスソースが少し焦げて香ばしい匂いをさせている。上に乗ったチーズはとろりと溶けてハンバーグを覆い隠している。ナイフを入れると、じゅわりと肉汁が溢れだした。ひと口分をフォークに刺して、口に運ぶ。 「なにこれ……こんなに美味しいハンバーグ初めて食べた!」 「大袈裟ですね。でも、嬉しいです。ありがとうございます」 「また来ます。絶対!」 「はい。お待ちしております」
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