マイ・クール・ラバー

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◇◇◇ 「え、それでいきなり一緒に住み始めたの? 大丈夫なの、その人」  お昼休みに類が作ってくれたお弁当をつつきながら同期のなずなに一部始終を話したら、至極当然の反応が返ってきた。 「たぶん……? まだ前の家は引き払ってないし、やばかったら逃げるよ。でも、ご飯は本当に美味しいの。毎日幸せなの。わたしの胃袋は」 「へえ……あ、ほんとだ。この卵焼き最高に美味しい」 「あー、ちょっと、わたしのなのに。ひどい」 「いいじゃん、もう一切れあるし。それに帰ったら食べられるんでしょ?」  そうだけど。類の作る料理を少しでも食べられないのが悔しいんだ。毎食残さず食べていたものだから、たった二週間でお腹周りがひと回り大きくなったような気がする。 「料理以外はどうなの? どんな人なの?」 「うーんとね、いつ寝てるかわからないんだよね。わたしのほうが先に寝るのに、朝起きるとすでに朝食作ってる。それから、冷たい」 「冷たい? 大丈夫なの? やっぱり心配だよ」 「あ、違うの。物理的にね。平熱低いのかな。手もそうだし、顔とか首とかいつもひんやりしてるの」
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