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山田とパンとハナさん
仕事が終わってひといき。山田は菓子パンコーナーを見ていた。
「ん?」
惣菜パンになんか変なのが置いてある。新商品か。
山田はしゃがんで、それを手に取ってそれを見てみた。
なにこれ!!牛乳イカパン!?めちゃくちゃ不味そう。美味いのかなあ。
焼きそばパンみたいにイカの切り身が挟まってるパンだ。パンに黒いシミができてるし
どう見ても不味そう。
「ふっふっふ!!!!山田氏……それに目をつけるとは、いい目をしているなぁ?」
「そ、その声は、十神!!」
ばっと振り向くと、メガネを光らせた十神がいた。
「それは昨日出たばかりの新商品だ。美味そうだろう。」
「え……いや……」
「だがな!!山田氏!!その商品はとても不味かったぞ!!」
「いや、お前昨日買って帰ったんかい。」
ふふんと十神は鼻を鳴らす。
「とにかく臭い!!そしてパンが甘い!!最悪のコラボ!!激マズであった!!」
「おえ、やだなあ。」
山田が商品を戻そうとしたとき、いい事を思いついてフフフとニヤついた。
「これ誰かに奢ってあげよう。」
「なに!?そんな酷いことをするのか!
山田氏!」
「大丈夫、ドッキリだよ。」
お菓子コーナーに山田は入っていった。
「アイパイセン!」
「ん?」
「これめっちゃ美味いんすけど、食べませんか?俺奢りますよ。」
山田はアイの前に牛乳イカパンを持ってくる。
「……すごく不味そう。チョコ奢ってくれた方が嬉しい。」
「……そっすかあ、美味いんですけどね。」
山田は頭を掻きながらそう言って、十神の方へ戻った。
「もっと押せよ!!やる気あるのか山田氏!!」
「うるせえよ!!だったらお前がしろっ」
「我、女の子に嫌われたくないから。」
十神は真顔で手を横に振った。
滅茶苦茶、本音かよ
「お前が言うか?もう嫌われまくってるでしょ。」
「そんなまさか!!!」
ハッハッハと笑う十神を置いて、山田は次のターゲットへ向かう。
「え、あ、ほんとに我嫌われてる??」
「ハナパイセン、これすごく美味いんすよ。食べませんか?」
ドリンクコーナーにいたハナさんに、山田は声をかけた。
「え?ほんと?奢ってくれるの?じゃあちょっと食べてみよっかな!」
(きた……!!)
山田は心の中でそう思った。
「じゃあこれ、もう買ってあるんで。はい。お疲れ様です」
そう言って山田は十神の所へ戻った。
「ハナパイセンが貰ったぞ!!」
「ハナさんが可哀想だな。酷いやつだな。山田氏は。」
「さっき、押せよ!!とかノリノリだったやつに言われたくないんだけど。でもまあ、明日が楽しみ。」
山田はそう言って、2人は店を出るのだった。
ーー次の日ーー
「山田くん!!!!」
レジをしていると、ハナパイセンに声をかけられた。
「昨日買ってくれたパン!!!」
「あー!昨日のパン!どうでしたか?美味しかったですか?」
山田はちょっとしめしめと思っていた。
「おいしいなんてもんじゃないよ!!」
結構大きな声でハナさんは言う。
「いやいや、すみません、そんなに怒らないでくださいよ。」
「もはや超美味しいだよ!!!」
ハナパイセンは目を輝かせて山田に言った。
……ん?
「あのイカとパンの甘さが美味しくてね!臭みもすごく癖になるの!!今日も休憩中食べようと思って買っちゃったー。」
「あ、え?」
「山田くんありがとうね〜」
ハナさんはそういうとそのまま、どこかへ言ってしまった。
「おい、十神。不味いんじゃなかったのか?」
山田は隣のレジを見る。山田が腕を組んでいた。
「……いや、ちゃんと不味い。山田氏も食ってみたら分かる。ハナさんは天然っぽい所あるからなあ……きっとそれだ。」
「そんなことある??……でもまあいいか、喜んでたんなら、」
だがそれは地獄の始まりだった。
その後ハナさんは休憩所で食べ、事務所にものすごい激臭を充満させた。
店長は意識が飛びそうになり、一緒に休憩の十神は隣の席でガクンガクンと痙攣していた。
次の日もまたハナさんはイカパンを食べようとしたので、店長は、匂いが強い物を事務所で食べることをその日から禁止した。
「死ぬかと思ったんだぞ!!山田氏!!」
「俺なにも知らない。」
↓ショートストーリー↓
【十神と無礼客】
ー接客中ー
十神「538円です!!」
客「ほらよ。」
客がお金投げてチャリンチャリンと言う。そして1枚トレーから落ちる。
だが、十神はにっこり笑顔でお金をスっと預かり、お釣りをスっと渡す。
「ありがとうございました!!(笑顔)」
ウィーン(自動ドアが閉まる)
「……………チッ!愚民が!!我の力で消し炭にするぞ……!!」
「頼んだ十神。」
一部始終見てた山田が共感した。
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