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女性教師はそう言うと、インカメラの角度を変える。
アキト側の画面いっぱいに、豊かな胸が作り出す縦方向の深い谷間が映し出された。
彼に鑑賞する時間を与えているつもりなのか、画面はしばらくそのままだった。10秒ほどたつと角度が戻り、よそ行きのメイクに包まれた顔が再び映る。
”じゃあ、お風呂チャレンジがんばってね”
「おう」
女性教師の直接的な誘惑にも、アキトは全く動じない。
続いて彼は、ずらりと並ぶ連絡先のうち、女性教師ではなく女子生徒のIDを選んで電話をかけた。
アキトが通話に用いているのは、スマートフォンが本来持っている電話機能ではなく、ショートメッセージアプリである。
このアプリは、互いのIDさえ知っていれば無料でビデオ通話をすることができるのだ。
つまり学校の女性たちにとって、アキトのIDを知ることは彼と通話する権利を半分得るようなものだった。
アキトにとっても、気に入らなければブロックすればすむので都合がいい。
”は、はいっ、もしもし!”
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