その2:大勝負の舞台裏

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 あわてた声とともに、長い髪を後ろにまとめた女子生徒の顔が画面に現れる。その声はやたらと響いて聞こえた。  アキトはにんまり笑うと、目と耳で得た情報を元に彼女へ尋ねる。 「風呂にスマホ持ち込んでたのか?」 ”う、うん! いつアキトくんがかけてきてもいいようにって思って” 「上出来だ。お風呂チャレンジ成功だよ」 ”ほんと? やった…!”  女子生徒は喜びつつも、アキトにうるさい思いをさせないよう声を抑えてそう言った。  お風呂チャレンジとは何か。  それは、女子生徒が入浴していると思しき時間帯にわざと電話をかけ、すぐに出るかどうかを試すゲームである。  当然ながら、アキトとIDを交換している高ランクの女子生徒たちが対象になる。  これに成功すると、深夜まで彼と長電話をする権利を得ることができるのだ。  なお、このゲームに参加できるのは女子生徒だけである。  女性教師は残業などで決まった時間に帰宅できないことも多いため、そもそも参加する権利がない。
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