その1:一世一代の大勝負

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 この時点でもう、ユウカを好きになってよかったと思った。  彼女は逃げることなく、きちんと自分の言葉で断ろうとしてくれている。  なんと素晴らしい女性だろうか。  断られるのは悲しいが、想いを伝えたことに後悔はない。  胸は詰まり、まぶたの合わせ目から涙がこぼれそうになってはいるが、告白してよかったと心から思った。  そこへユウカの声が続く。 「これから少しずつ」 「…?」  マサオは不思議に思う。  そこは「付き合うのは無理」だとか「ごめんなさい」と言うところではないのか? ごく小さな混乱が生まれつつあった。  そんな彼の鼓膜を、予想だにしない言葉が震わせる。 「仲良くしていけたらな…って、思ってるんだけど」 「……えっ……?」  マサオはまぶたを開き、顔を上げた。  何がなんだかわからない。  彼は、ユウカが言った言葉を頭の中でつなげてみる。 ”あ…あの、ね” ”わたし、あなたのこと…まだよく知らないから” ”これから少しずつ” ”仲良くしていけたらな…って、思ってるんだけど”  どういうことなのか?  まるでわからない。
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