0人が本棚に入れています
本棚に追加
この時点でもう、ユウカを好きになってよかったと思った。
彼女は逃げることなく、きちんと自分の言葉で断ろうとしてくれている。
なんと素晴らしい女性だろうか。
断られるのは悲しいが、想いを伝えたことに後悔はない。
胸は詰まり、まぶたの合わせ目から涙がこぼれそうになってはいるが、告白してよかったと心から思った。
そこへユウカの声が続く。
「これから少しずつ」
「…?」
マサオは不思議に思う。
そこは「付き合うのは無理」だとか「ごめんなさい」と言うところではないのか? ごく小さな混乱が生まれつつあった。
そんな彼の鼓膜を、予想だにしない言葉が震わせる。
「仲良くしていけたらな…って、思ってるんだけど」
「……えっ……?」
マサオはまぶたを開き、顔を上げた。
何がなんだかわからない。
彼は、ユウカが言った言葉を頭の中でつなげてみる。
”あ…あの、ね”
”わたし、あなたのこと…まだよく知らないから”
”これから少しずつ”
”仲良くしていけたらな…って、思ってるんだけど”
どういうことなのか?
まるでわからない。
最初のコメントを投稿しよう!