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「どう、かな?」
彼女に尋ねられても、まだわからない。
一体何が起きているのか?
「……」
マサオは完全に思考停止していた。
まばたきすることすら忘れ、呆然と突っ立っている。
それを見たユウカは軽く苦笑すると、左足のそばに置いていた学生カバンの中からメモ帳とペンを取り出した。
メモ帳に文章らしきものを書いた後で1枚破り取り、マサオに近づく。
「これ、わたしのメッセIDだから。よかったら送ってね」
彼にメモを握らせた。
手と手が触れ合ったことでマサオは我に返ったが、同時にひどく混乱してしまう。
「え? え…?」
「それじゃ」
ユウカはにっこり微笑んでみせると、カバンを手に体育館裏から去っていく。
状況を理解できないマサオは、彼女が曲がっていった体育館の角をぼんやりと眺め続けるのだった。
ユウカは放課後であるにも関わらず、校門には向かわず校舎に入る。
2階の端まで来ると足を止めた。
窓際に立つ男子生徒へ、不安げに声をかける。
「あ、アキト…言う通りに、したよ」
「よーし、来い」
「……うん…」
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