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その競い合いに与えられる最高の賞品は、アキトと過ごす甘い時間である。
彼の気まぐれにより、甘い時間を味わえるのはひとりだったりふたりだったり最大5人だったりしたが、女性たちは必死に自らの美と媚を磨き続けた。
賞品は他にも、学校にいる間ずっと彼のそばにいられる権利や、その時間を午前だけ午後だけに分けたもの、ショートメッセージアプリのIDを教えてもらえる権利、夜に電話で話せる権利など多岐に渡る。
当然アキトひとりでは管理しきれない上にする気もないので、それに関しては女性教師に丸投げしていた。
「今日は何だっけ?」
夜になり自室へ戻ってきたアキトは、顔の前に自身のスマートフォンを持ってきて尋ねる。
角が丸い長方形の画面には、眼鏡をかけた理知的な女性教師の顔が映し出されていた。
ふたりはビデオ通話中である。
女性教師が沈んだ表情でこう答えた。
”今日はお風呂チャレンジよ…”
「元気ないな、どうした?」
”ねえアキトくん、もう女性をおもちゃにするのはやめない?”
「なーに先生、オレに逆らっちゃう感じ?」
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