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「笑ってたよ。すごい綺麗だった」
佐久間さんがこちらをみて言う。
密やかに笑みを含んだその顔は、冗談を言っているようには見えない。
だから、多分この人のセンスが少し変なのだろう。
もっといろいろと聞いてから伝えるべきなのかもしれない。
けれど、なんか照れくさくて、どうしていいのかわからなくてつい「……俺も、佐久間さんにもらった飴の包み今もとってありますよ」と言ってしまった。
「へ……?」
佐久間さんが変な声をだして、あっ、と思ってしまう。
「いや、舐め回したりはしてないですよ」
とっさに出た言葉は先程の佐久間さんの言葉とほぼ同じでこれは失笑ものだ。
じわじわと顔が赤く上気していくさまをまじまじと見るのは初めてだ。
佐久間さんがそんな顔を赤くするとは思っていなかった。
「なんで、俺にばっかりかまうんですか?」
「ん?だって、好きだから。」
あまりにも当たり前にこの人は言う。
もう多分ちゃんと思い知らされてしまっている。
「だからって、わざわざ悪評たてられて孤立まですること無いでしょうに」
「んー。あ、そっち?」
困ったように佐久間さんが笑って、ああ、やっぱり関係あったと思ってしまった。
全く関係の無いことなら良かったのにとさえ思う。
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