好きな人

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好きな人

その人は、まるで台風の様な人だった。 台風というか、台風の目みたいな、そんな人。 その人とその近しい周りは穏やかな風が吹いているのに、それより遠くはびゅうびゅうと嵐になっている。 そういう人だ。 本人に自覚があるのかは聞いたことが無いから知らない。 だけど、多分きっと理解している。 部活動という中で知り合った先輩というやつだけれど、スポーツ推薦でお互いこの高校に来ているのだ。 嫉妬にまみれた羨望もプレッシャーも何もかも無視してやれるほど自由でない環境だという事は俺もよく知っている。 運動系の部活ばかりの寮生活に、栄養価を管理された食事。 周りもプロ志望のスポーツ推薦組が多い。 そんな中で、あの人といるときは穏やかな空気が流れている気がしたのだ。
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