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その世界では、忌み嫌われる魔力を持って生まれたせいで、幼い頃に兄に教会に預けられて育った。 国からの援助目的で預かっている教会で、豚小屋の豚に餌をやっている程度の認識の世話だったから碌なものじゃなかったし、病気になっても医者に見せてもらえず、地下牢に入れてまだ虫の息でも生きているのに埋められる他の子供達を見て、兄は騒ぎを起こす神を連れてさっさと教会を出た。 それから2人で独学で魔術を学び様々な国を旅して、流行り病にかかり、寝ぐらにしていた場所で毎日転移の魔法でふらりと居なくなっては戻ってくる兄の帰りを待ちながら、やっぱり今回も成人を迎える前に死ぬのではと思っていたら、兄が何処からか持ってきたのだ。 光輝く小さな雫の形をした物を。 「なに?その綺麗なの?」 「どこぞの神の雫と呼ばれるものらしい」 「へぇー」 ベッドで横たわりながら、とっても美しくて、死ぬ前に良いもの見れたなと思っていたら、急に兄は兄の胸に持っていたナイフを突き立てた。 次回更新日は7月30日土曜日です。 いつも読んでくれてありがとうございます。
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