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「なっにしてっ?!」 質問に答える事の無い兄は最期の力を振り絞って胸からナイフを引き抜いて、命の雫といっても過言では無い胸から溢れ出た血が神の雫に掛かり、そのまま、こんな事態になっていても起き上がる力さえ無い騒ぎを起こす神へと掛かる。 嫌だっ、どうしてっなどという慟哭は聞き届ける者など居なくなり。 絶命した兄の手からは神の雫は消えていた。 それから、あれ程までに身体を蝕んでいた病は治り、魔術を使って兄の亡骸を保存して、老いる事も無く、死ねば兄とまた会えるかと、せっかく貰った命だからと100年は生きて死のうとしたが死ねず、騒ぎを起こす神は永い時を彷徨う事になる。 兄が生まれ変わって無いからとか、神の雫は他にも無いかなど探してみたが、見つかる事なく、漸くちょうど同じくらいの神の雫が見つかったのは、兄が亡くなって探し始めてから、数千年後だった。 そこで、何と無くだがこの世のものじゃ無いのかも知れないと思った。 とりあえず、数千年生きてきてあの時以外で初めて神の雫に出会って、周りに知っている人間も勿論居ないしで、使い方が全く解らないから兄がしてくれたのと同じようにやったが、やっぱり駄目だった。 その時だ、神様とやらに出会ったのは。 次回更新日は8月5日です。 いつも読んでくれてありがとうございます! 最近暑過ぎるので、どうか体調等お気を付けてお過ごし下さいませ。
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