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「うん。今年のお盆は、私と要人が別々じゃなくて、一緒に来たことに気づいたみたい。もしかしたら、私を心配してくれていたのかも」
「そうだろうな」
多くを語らなかったけど、よく出会う私を気にかけてくれていたのだろう。
思えば、私が立ち直るまでに、要人だけでなく、たくさんの人が支えてくれていたと思う。
「要人はなにを話したの?」
「結婚おめでとうございますって言われただけだ」
「どうしてわかったのかしら」
「指輪だろ」
私と要人の指にある結婚指輪。
もう自分の身の一部のようになっていて、忘れてしまっていた。
「あ、そうよね……」
「ちゃんと、おじさんとおばさんに結婚報告しろよ?」
「わ、わかってるわよ。そこまで抜けてないんだから!」
お墓に花を添え、手を合わせ、目を閉じる。
相変わらず、言い争っている私たちを眺め、両親が笑っているような気がした。
「志茉……」
泣く私を見て、要人は心配そうにハンカチを差し出した。
「違うの、要人。これはね、悲しくて泣いてるんじゃなくて、懐かしくて泣いてるの。お父さんもお母さんも、私と要人が一緒にいるのを見て、喜んでるだろうってわかるから」
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