15 幼馴染 ※要人視点

2/11
前へ
/211ページ
次へ
 ――俺が帰る場所は、志茉(しま)が待つ場所だけ。  コンビニに寄って、志茉が好きなアイスクリームと食べやすそうなゼリーやヨーグルトをいくつか選ぶ。  前より食事を摂るようになったが、夏の暑さもあってか、食欲は落ちていた。  辛いくせに我慢して、顔には出さず、強がるから困る。  負けず嫌いで、意固地な志茉。  昔から、泣くのを嫌がるところがあった。 「プリンも買うか」  また買いすぎだと言われて、怒られるんだろうなと思いながら、レジに行く。  会計を済ませようとすると、レジに立っていた店員が、俺の顔をジッと見てきた。  知り合いらしく、頭の中にある記憶をたどる、それが、大学の後輩だと気いた。   「仁礼木(にれき)先輩は私のことなんて、どうでもいいんですね」 「は?」  言っている意味がよくわからない。  目の前にいる後輩は、付き合ったこともない女子の後輩である。 「サークル内で、私と仲良くしてくれたのに……。遊びに行きましたよね?」 「個人ではなく、サークル仲間同士でなら」  事実を言っても、納得してないのか、ムッとされた。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6978人が本棚に入れています
本棚に追加