15 幼馴染 ※要人視点

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 近すぎるせいだと思い、距離を置いてみたり、ちょっと会わずにいたり……我ながら涙ぐましい努力をしてきた。  ずっと志茉にとって、俺は隣の幼馴染のままだった。  けど、今は違う―― 「でも、よくない噂が流れていて、黙っていられなくなったんです。仁礼木先輩は、本気の本気で、志茉を大事にしてくれますか?」 「耳にした噂が、よくない噂だと思うんなら、答えはもう出てるだろ」  面白半分で噂を流している人間と、悪意を持って噂を語る人間。そのどちらとも葉山は違っていた。  心配している葉山は、間違いなく志茉の親友だ。  深々と葉山は頭を下げる。 「すみません。くだらないこと聞いちゃって。これ以上、志茉を傷つけないでくださいね」 「ああ……」  一瞬だけ、後ろめたさを感じた。  この後ろめたさの正体がなんなのか、俺にはわかっていた。  葉山が去り、俺は志茉が待つアパートを目指す。  俺のポケットには、志茉の両親がくれた合鍵が、いつも入っている。  これは、俺のお守りで、いつでも入れるよう志茉の両親は、俺に鍵を渡してくれたのだ。  俺が辛い時や苦しい時、仁礼木から逃げられるようにと。
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