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――志茉をどこへも行かせない。
あの日と同じ気持ちと同じ体勢。
違うのは、俺たちが大人だということだけだった。
「俺の家族は志茉だけだ。だから、言えよ。志茉を追い詰めたのは、仁礼木なんだろ?」
志茉の目から涙がこぼれた。
ここで、引いたら、この先はないとわかってる。
だから、俺は引かない。
言うまで待つ。
それがわかったのか、志茉は諦め、口を割った。
「仁礼木の家に呼び出されて……。要人に言ったら、アパートから出ていってもらうって言われたの……」
それは、わかりやすい脅しだった。
頼る人がいない志茉の境遇を考えて、言ったのは間違いない。
「要人と絶対に恋人関係にならないって、約束をさせられて、誓約書にサインした……。それが、私が要人のそばにいて、いい条件だったから」
「誓約書……。高校生の志茉相手にか」
俺の性格を考えてか、両親は用意周到に、志茉を呼び出したらしい。
高校生の志茉が、大人に囲まれ、言われたら拒めるわけがない。
「要人も大学生だったから……。どうにもできないわよ……」
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