15 幼馴染 ※要人視点

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 俺の腕に触れた志茉は、今度は俺が仁礼木を追い詰めると思っている。  ――それは正しい。この日を待っていたのだから。 「わかった。なんとかする」  志茉の涙をぬぐい、押さえつけていた体を解放する。 「な、なんとかするって、なにをするつもり!?」 「志茉から、俺にキスしてくれたら。教えてやるよ」 「やるわけないでしょ!」  顔を赤くして怒る志茉は、あの頃と違う。  それが嬉しくて、俺は笑った。  スマホを取り出し、連絡するのは俺の能力を買い、一気に昇進させた宮ノ入(みやのいり)社長の秘書、八木沢(やぎさわ)常務。 「要人、どうするの?」 「昔とは違う」 「違うのはわかるわ。でも、誓約書があるのよ?」 「あるな。だから、こちらも正攻法で行く」  宮ノ入グループなくらいの大企業なら、仁礼木の弁護士に勝てる弁護士をいくらでも用意できる。 「仁礼木と争うの? そんなことしたら、要人は仁礼木の家と縁を切ることになるわ」  どこまでも優しい志茉は、仁礼木家のことを考えているようだった。  だが――
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