3 友人の忠告

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 新社長の噂話は、経理課にもなぜか届き、お昼前には、要人(かなめ)仁礼木(にれき)総合病院の次男であることが知れ渡り、彼女はいるのか、婚約者は誰なのかと、探りを入れる女子社員が増えた。  探偵並みの鋭さを持つ、経理部の大先輩たちは宮ノ入(みやのいり)グループの知り合いの社員にまで、聞き込みをする始末。  今日の沖重(おきしげ)グループの生産性の悪さは、新社長として、要人は反省するべきだと思う。 「私の存在は空気……。そう……空気になるのよ!」  昼休憩のランチタイムには、社食で友人と食べるのが、私の楽しみ。  昨日の残り物を詰めた手作り弁当を手に、社食へ向かう。 「志茉(しま)、こっち! 早くっ!」 「恵衣(めい)? どうして、そんな必死になってるの?」  社食の窓際を陣取り、すでに食べる準備万端の様子で、椅子に座って私を待っていたのは、高校からの友人である葉山(はやま)恵衣(めい)。  一番いい窓際の席を陣取り、早く来いと手招きしていた。 「遅いっ! なにしてたのよ」 「仕事以外にないでしょ。恵衣が言いたいことは、想像つくわよ」  恵衣は受付で働いている。
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