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つまり、朝、会社に入ってきた要人を真っ先に目にしたはずだった。
恵衣は社食の煮魚定食を横にやり、私に顔を寄せた……近い。
「ね、志茉。あたしの見間違えじゃなかったら、新しい社長、仁礼木要人先輩に見えたんだけど」
「目は正常です。見間違えじゃないわよ」
ひっと恵衣は、悲鳴に似た声を上げた。
「なにその声。ゾンビに出会ったような声を出さなくてもいいでしょ」
お弁当が入った袋をテーブルに置く。
先に来ていた恵衣が用意してくれたのか、セルフサービスのお茶を私の分まで、持ってきてくれていた。
「だ、だって、あの仁礼木先輩よね?」
どの仁礼木先輩なのかわからないけど、たぶん恵衣が知っている仁礼木は、要人だけだと思って、首を縦に振った。
「高校の時、志茉がちょっとだけ付き合った彼氏をボコボコにした……」
「おおげさよ。あれは私が付き合ったから、ボコボコにしたんじゃないわよ。その人は別件で、要人とケンカになったって言ってたし。要人は大学時代……小学生の頃から、モテモテで、私なんか眼中にないってば」
恵衣が用意してくれた温かいお茶を一口飲む。
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