22 暗躍

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「八重子さんがいてくれたら、心強いです。仕事もあるし……」 「志茉は当分の間、仕事は休みだ」  階段を降りてきた要人は、欠伸をしながら言った。 「休みって……」 「要人坊っちゃま、おはようございます」 「ああ。おはよう」    用意された朝ご飯の席に、要人が座った。   「あの火事の後で、出勤できるわけないだろ」 「放火の疑いがあるそうですよ……。警察の方が調べているところで、まだはっきりしておりませんが、危険でしょう」  八重子さんはそう言って、熱い味噌汁を要人に渡す。  さすが長年、仁礼木家の家政婦を勤めてきただけある八重子さんの味噌汁。ダシの香りもばっちりで、完璧な味噌汁だった。  味噌汁でホッとしたのも束の間。  物騒な話を聞くことになろうとは、思ってもみなかった。 「本当に放火なの?」 「……ああ」  要人は多く語らない。 『火をつけたのは、俺の母親だな』  その言葉を思い出し、背筋が寒くなった。  仁礼木のおばさんは、感情的になりやすく、ヒステリックなところがあったけど、まさかという気持ちのほうが大きかった。
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