23 宮ノ入グループ

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 ニュースが流れた翌日、要人(かなめ)に誘われ、お昼からすき焼きランチをご馳走になっていた。  こんな贅沢でいいのだろうかと思ったけど、これは要人の働きによるお礼なのだそうだ。  なお、秘書の朝比(あさひ)さんも無料で使えるらしい。  無期限っていうところが、恐ろしい。 「どうしてすき焼き店が報酬なの?」 「志茉が牛肉好きだって言ってたからだ」 「私!?」 「ん? 違ってたか?」 「違ってないけど……」  あんな世間を騒がすニュースになったのに、その報酬がすき焼き店の無期限使用だというのが、なんだか申し訳ない。  大きい報酬ではある。あるんだけど、鍋の中を複雑な心境で見つめる。  甘く煮えたお肉が、くつくつといい音を立て、『いい頃合いですよ、志茉ちゃん』と私に優しく語りかけている。  箸で肉をサッと取り、溶き卵につけて口に運ぶ。  とろっとした肉の脂が口の中に溶け、幸せな気分になった。  そして、うっかり忘れるところだった。 「牛肉で騙されるところだったわ。扇田(おおぎだ)工業のニュースだけど、要人はあのためにお見合いしたの?」 「そうだぞ。だから、気にするなって言っただろ? プライベートなことに関わるからな。これは一部しか知らない」 「プライベートっていうより、扇田工業の疑惑に関わることが極秘でしょ。要人のプライベートなんて、オープンでもいいくらいよ」
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