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「松中、悪い!そこ、俺の席だから。松中は真ん中行ってくれ!
真ん中を気持ち大きめの座布団にしてもらってっから」
「俺、特別席?!いや〜、なんか悪いなぁ」
悪いなぁと言いながら嬉しそうに席を移動してくれた。
他にも数名居たが、松中の近くに座っていく。
悪いヤツじゃないし、面白いから松中の周りには常に人が集まっていた。ただ単に俺が距離を置いていただけだ。
「幸喜、相変わらず分かりやす!」
クスクスと笑いながら旭が俺の隣に座る。
やめろ!その笑顔!眩しいじゃないか!!
一難去ってまた一難……ちょっと意味が違うか!
「助かったけど、旭は幹事だから、こんな端じゃダメだろ。真ん中に行けよ」
そうだ、決戦は帰りだから、それまではここでひっそりと旭の姿を見つめながら心の準備をする予定なのだ。
「俺は人を集めるのが仕事だったから、もういいんだよ。後は松中に任せた」
もう動く気は無いらしく、旭もコートを脱いで俺の横で楽な体制を取っていた。
その間にポツポツ人が増えて行く。
「新垣くん、久しぶりー!あんまり変わってないね!」
「おー!荒谷じゃん!髪が変わってる!化粧してる!!女は化けるね〜!」
「何それ、褒めてくれてるんだよね?」
軽口叩きながら、ちゃっかり旭の前の席に座る。
そういえば、荒谷さんて旭の事が好きっぽかったよな……。
結構俺の事邪魔みたいにチラチラ見られてた事があった様な…?
これって今回も俺が邪魔とか思ってる……?
冷や汗かきながら、とりあえず手持ち無沙汰なので、冷水をチビチビ飲んでると
「私、高校の時、新垣くんの事好きだったんだよ〜!」
爆弾発言に咽そうになる。
「あ、でも今彼氏居るから!」
ケラケラ笑う荒谷さんを見ながら、女ってコエェ〜と心の中で思う。
「あ、そうなんだ。知らなかったな〜!サンキュー!」
残念と言う感情は無さそうに旭は言う。
高校の時に荒谷さんが旭に告白してたら二人はどうなってたかな…。
旭の女友達の中だと一番荒谷さんが話しやすそうで合ってたよなぁ……。もし二人が付き合ってたら俺に告白なんて事は無かったかな……。
「新垣くんは彼女居るの?」
「?!」
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