伝えよう

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そっか、次に進んでる旭ならもう真っ当な恋愛してるって事も……! 飲みかけのコップを机に置いて旭をジッと見る。 と、旭も俺を見ていてバチッ!と目が合ってしまう。 「俺、彼女居ないよ。高校の時からそのまんま。変わらないよ」 言って、視線を逸して荒谷さんの方に戻り、また軽口を言い合い始める。 それって、それって、どういう意味?! ドキドキする心臓を抱え、考えを巡らせる。 「西浦くんはどうなの?彼女居るの?」 話に参加してなかったが、自分の名前に反応した。 「え?俺?」 旭が過剰に俺の方を見ている気がする。 な、何だ?!どこから俺の話になったんだ?! 「居ないよ!居たら今日はここじゃなく、なんとかランドでカウントダウンしてるよ」 なんて冗談交じりに上手いこと言ったと思ったけど、荒谷さんは彼氏居るのにここに来てるんだった! しまったと思いつつ、もう取り戻しも出来ず、ハハハと笑って誤魔化す。 すると、入り口でワッと歓声が上がり、何かと思ったら高校3年の時の担任が現れる。 ふうっ、助かった! 挨拶や乾杯の音頭が終わり、ただの飲み会が始まった。 俺の前の席は旭ホイホイで女の子で埋まっていた。 そういえば、高校の時、男友達も多かったけど、女の子にも囲まれてたよなぁ……。 居心地悪かったけど、席も外せず、その輪の中に居たけど、旭は俺から離れなかったなぁ。 俺が席を外そうとしても旭がそうはさせなかった。 なんか、いろいろ思い出すなぁ……。 「西浦くん、ウーロン茶?飲めないの?」 「あ、飲めるのは飲めるけど酎ハイ一杯で酔える安上がり体質だから」 「何それウケルー!!新垣くんは晩酌してたりするの?」 はい、俺の話は終了ー!!うん、いいよそれで! 心で泣きながら目の前の料理に集中する。 居酒屋の割に料理が出来たてで美味い! ヤッバ!!ホッケウメェ!!揚げ出し豆腐ウメェ!! 幸せに浸りながら食べてたら少し酔ってるのか頬が赤味がかった旭と目が合う。 片肘を付いて手で顔を支え、体を捻ってこちらをジッと見ていた。 荒谷さん達と楽しそうに話してたのにいつの間に?! 何だ、その体制は!!その艶っぽい瞳は何だ!! ウメェウメェと言ってた食べ物達の味が消え、ゴクリと喉の奥に押し込んだ。
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