オンラインスイミング

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オンラインスイミング

|根っからの金槌(かなずち)男、津間(あおい)はユーチューバーの仕事の合間に、スポーツジムで平泳ぎの個人レッスンを受けていた。折しも新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、行政からはスポーツジムが運営する各教室のオンラインへ化への移行を要望されたのである。 そこでユーチューバーのノウハウを買われた津間に白羽の矢が立ったと言うお話です。 美人コーチ:青柳菜々緒(ななお) 29歳 独身女性 コーチ補佐:紺田サヤカ 23歳 大学院生(アルバイト) ナサ・スポーツジム167号店支配人:黒田茂 46歳 既婚者 第一産業:担当 石原 55歳 既婚者 俺:津間(あおい)(通称:アオ) 32歳 独身男性 ユーチューバー 「津間様、申し訳ございません・・コロナウイルス拡散防止のため、今後は個人レッスンが出来なくなりまして、ハイ!」 「ようやく少しは前に進むようになったのに、ねぇコーチ?」 「青柳コーチ・・青柳さん! 津間様がお声掛けて下さってるだろ⁉」 「エッ、私ですか?すみません! 今サヤカちゃんに指示していたもので・・すみません、どのようなお話だったんでしょうか?」 「だから・・感染防止のために個人レッスンが出来なくなったってお話ですよ。」 「あぁ、個人レッスンのお話ですよね、すみません、別のお話かと思っちゃいまして・・それで?」    支配人は私を担当する青柳コーチに話を振ろうとした。一方、紺田サヤカに何やら指示を出していた青柳コーチは向こう向きだったためか、最初のそれを知る由も無かったのである。 紺田サヤカという女性はコーチ補佐という肩書であらゆる雑用を任されている大学院生アルバイトだ。 「それでは私からお話します。津間様はご利用がございませんが、3階のスタジオで実施しておりましたダンスプログラムは、全てオンライン教室に形を変えて継続することになりました。でも水泳の教室でのオンラインはいかがなものかと、悩んでいるところなんです。」    そう言えばネットニュースの見出しだったか?・・私も何かでチラ見したことがある。記事のタイトルはこうだ・・事業所を対象に地元知事が『オンライン活用の要請』をしたとか・・あれがこのオンライン教室の事だったのか⁉ 「・・そりゃ私も残念ですが、このコロナ禍じゃ仕方が無いでしょ⁉ まぁ暫くすればそのうち感染数も落ち着きますよ・・絶対に! ねぇ青柳コーチ⁉」 「勿論、そうあって欲しんですが・・いやいや、そうじゃなくて、津間様のユーチューバー実績って凄いんですってね⁉」 「えっまぁ、それで生計を立ててるんですから、その道のプロですかね・・」 「そのプロとしてのノウハウをお借り出来ないものかと・・それでお声かけしていると、そういう次第なんです。」 「支配人⁉・・まさかオンラインで水泳教室も・・ってことですか?」 「・・そんなの絶対無理ですよね⁉」 「ん~・・そうですね⁉・・新しいことを否定する人って直ぐ出来ない理由を並べたがるでしょ・・そうじゃなくて、僕は出来る方法を考えるのが面白いんです、と言うかそれが好きなんです。 例えて言うと、まずはオンラインスイミングの映像をイメージするんですよ。色んな光景が出てきませんか・・支配人⁉」 「えっ、まぁ・・」 「そこからがスタートです! 駄目なことなんか有りませんよ、良いですよ、面白いじゃないですか・・オンライン水泳教室なんて、マジ、面白いと思いますよ。」 「と言うことは・・ご協力いただけると思ってもいいんですよね⁉ 勿論、プランニングに関わる経費はこちらの方からお支払いいたしますので、それと教室としてのノウハウはウチのコーチがサポートしますので、使ってやってください。」 「コーチがね?・・でも、指導者の裏側についてなんかお聞かせいただけないですよね?」 「参考になるのでしたら、表であろうが、裏であろうが・・ね?青柳コーチ?」 「えぇ、特に隠しごとなどは普段から致しておりませんので、私たちは別に構いませんが。」 「いやぁ、そんな意味ではなく・・どう言ったらいいかな?・・まぁいいや、とにかく青柳コーチの業務スケージュールを伺っても宜しいでしょうか?」 「それでしたら、お帰りになる際お声かけ下さい。メールアドレス交換しますので」
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