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「はい、ちゃんとやっておくので大丈夫です」
カウンターの入り口をぱたりと閉めると、辻先生に「佐伯くん」と呼ばれた彼はにこやかに言った。
今どき珍しいくらいにきちんと品よく着こなされた制服。
細面によく似合った、癖のないサラサラの髪。
今日初めて見たはずのその姿から、私は目が離せなくなってしまった。
まるで私ひとりの時間が止まってしまったみたいに。
(すごい……素敵な人だ……)
最初の衝撃から立ち直ると、私は自分を落ち着かせるためにいったん本へと視線を戻した。でも内容が全然入ってこない。
学年一の読書好きで通っていたはずの私が、なんということ。
辻先生が出て行く音がして、図書室は再び静けさに包まれる。
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