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(うわあ……どうしよう……)
鼓動の音が周りに聞こえてしまいそうだった。
そんな心臓を必死に御しながらカウンターを見やる。
彼──佐伯先輩は何か作業をしているらしく、こちらに背を向けていた。
きっと、これは世に言う「ひとめぼれ」なのだ。
すらりと高い背も、濃紺のブレザーでふちどられた肩のラインも、何もかもが完璧に見えて思わずため息が出そうになる。
そんな私の視線を察知したわけではないはずだけど、先輩が振り向きそうな気配がして私は慌てて目を逸らした。
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