April-2.初めての会話

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April-2.初めての会話

 あれから私は独自のリサーチによって、佐伯先輩こと佐伯和斗先輩が図書委員長を務める三年生だというところまで突き止めた。  あ、もちろんリサーチなんていうのは冗談で、実際には図書室の掲示板に貼ってある当番表を見ただけだったりする。  委員長である佐伯先輩は、他の誰よりもたくさん当番にあたっていて、週に最低でも二回、多いときは三回も委員の仕事をしているようだった。  ということは、私が気づかなかっただけで、今までも同じ空間にいたことはあったのかもしれない。  辻先生からの信頼も厚いみたいで、先生が会議なんかで席を外すときにはたいてい佐伯先輩がカウンターにいる。  私は窓際の、書架にほど近い特等席に陣取って、そんな佐伯先輩の姿を拝んでいるのだ──なんて言うとストーカーみたいか。
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