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とはいうものの、私は決して佐伯先輩が目当てで図書室に通っているわけじゃない。
佐伯先輩がいようといまいと、私は毎日放課後になると図書室へ向かう。
そして大好きな本の世界に没頭するのだ。
中学の時は、外国のファンタジーばかり読んでいた。
魔法使いやエルフやドラゴンが登場するような物語ばかりを。
でも最近のお気に入りは、日本が舞台の現代小説だ。
現代小説には、ここではないどこか別の世界の冒険にドキドキワクワクするファンタジーとはまた違う魅力がある。
なんてったって本の中の出来事が、実は身近で起こっているかもしれないのだ。
もっと言うなら、私自身が明日遭遇するかもしれない出来事が描かれていたりもする。
そう考えた時、やっぱり読書というのは疑似体験なんだな、なんて思うのだ。
舞台が異世界であれ現実世界であれ、私は本の中の出来事に、登場人物たちと一緒になって触れていくのだから。
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