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一件落着
「ほんとすいませんでした、酒に酔った勢いでその……」
大男が、ふんどし一枚で土下座していた。その先に、桃太郎一行と、若き乙女達が睨みをきかせていた。
美女達が、鬼のような形相で言った。
「ほんと最悪。町奉行所行きよ」
「それだけは勘弁を!! 俺、この町一番の問屋の息子で!! 親の顔に泥を塗るわけには!! もし許してくれたら何でも欲しい物を買ってあげます!!」
「許しましょう」
美女達が、仏のような慈愛に満ちた笑みで言った。桃太郎は、嬉しく思った。鬼と人とが仲良くなる瞬間に立ち会えたのだから。
そのとき若き神は思った。桃太郎には何も言わないでおこう。お金の力、とは言えない……。
かくして、鬼退治っぽい事を成し遂げた桃太郎一行は、若き乙女達と一緒に賑やかな町へ繰り出し、美味しい食べ物を食べた。そして綺麗な飾り道具、衣類などを惜しげもなく購入した。問屋の息子である大男のおごりで。手では抱えきれなくなり、荷車にのせる程だった。まるで宝の山のよう。十分に町を堪能し、夜も更け、桃太郎一行は若き乙女達と別れ、そして、問屋の息子である大男の家で一泊したのだった。
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