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「時間だ」
そう言って彼は降車ボタンを押した。
バスは緩やかに速度を落とし停車。
力の抜けた私は座っていた。
「何をしている、立て」
「……は?」
「早くしろ、他の乗客に迷惑だろ」
彼の鋭い視線に弾かれて、焦って周囲を見回しバタバタとドアへ向かった。
私は通路側だったから、先に降りなきゃ彼は降りられなかったのだ……恥の上塗り。
雑誌の占いではとても良い運勢だったし、今朝の占いも1位だったのに。
占いなんてもう信じない!
着いたバス停で意気消沈してへたりこんだ。
話は済んだのだ、彼は私など放置して帰宅するだろう。
後一ヶ月、彼と私の進路は違うからそれでバイバイだ。
明日からは自由登校___もう、卒業式まで会うことはない。
「何をしている、歩け」
彼の冷淡な声がした。
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