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「日下くん、好きなお菓子なに?今度こそ答えてもらうからね。」
昼休みにボーッとしていると福本さんが俺の席の前にきて問いかける。
告白してから話す事がなかったので、少し緊張するも、福本さんはいつもと全く変わらない笑顔をしている。
福本さんの中で俺は完全に友達てして割りきられてるのね。少し悲しいけど、好きな子と仲の良い友達との恋は上手く行ってほしいとも思う。
そして、この何度も聞いた質問に対しては大丈夫、もう答えは用意してるから。
「ロー・・」
「優作、ちょっといいか。」
「海人、どうしたんだよ、その顔」
「俺の顔には触れないでくれ。」
突然話しかけてきた海人の目には大きな眼帯が付けてあった。俺は驚いたのだが、福本さんは少し顔を赤くして下を向いている。
うんうん、好きなんだな。
「俺と一緒にバンドを組んでくれ」
「はっ?お前なに言ってんだ?中二病か?」
「これだよ、文化祭。一緒に出よう」
海人は突拍子もないことを言うもんだから何事かと思いつつも、チラシを見る。
文化祭のロックフェスとかかれている。あ~そういえば確かに毎年やってるな。けっこう盛り上がるんだよな。
ってかこれがあるから美沙紀さんバンドって言ったのか。
「なんでだよ。それにお前には部活があるだろ」
文化祭開催の確か同じ週に大切な試合があったハズだ。こんなバンドなんかやってる場合じゃないだろうに。
「部活辞めたから」
「は?なんで?お前あれだけ毎日一生懸命やってたじゃん。」
おいおい、マジか。
海人は県でも上位のスプリンターだ。今年は地方大会も狙って練習してたのに。
「一生懸命やってたのは優作もだろう。ちゃんと引き継ぎしてきたし大丈夫だろ」
「まさか陸上部のやつらに何かされたのか?」
「なにも。どっちかと言うと優作の一件以来部員が信用出来なくなったから俺が見限ったってのが辞めた理由の一つかな。正直あの時、お前の退部を止められなかった時点で俺も辞めるか考えてて、この眼帯が最後の一押しになったよ。」
「そのケガどうしたんだよ。」
「ノーコメントだ。」
眼帯を抑えながら少し怯えた顔をする海人を見て、何だか本当に中二病なのかと思いちょっと笑えてくる。眼の力が抑えられないとか言い出したら爆笑だな。
ってか何も答えてくれないけど、あのケガなんなんだよ。やっぱり女か。福本さんの前だから言えないのか。
「じゃあやるか。」
「よし、二人でてっぺん取ろうぜ。」
海人が部活を辞めてまで誘ってくれてるんだ。断る理由はねぇな。どうせやることないし。
チラシをよく見てみると気になる点が一つ。
「なぁ、海人。これって定員四名以上って書いてあるぞ。」
「なに!ホントだ。」
海人は俺からチラシを奪うと俺が指摘したコメントを見て、衝撃を受けていた。
こんな大事な所見落とすなよ。
あと二人か。
ほかの友達にでも声かけるか。
「海里ちゃん、一緒にやろう。」
「えっ、アタシ?無理だよ。海人くん」
海里ちゃん?海人くん?
この二人いつの間に名前で呼ぶ仲になったんだ?
けど順調に仲良くなっていってるようで良かった。
海人が福本さんをいきなり誘った時はびっくりしたけど、それ以上に名前呼びになってることに驚いた。
「福本さん、一緒にやろうよ。」
俺も福本さんと一緒になりたいと思ったので、海人が言ってもダメだから無理だろうけど、ダメ元で誘ってみる。
「ん~日下くんが言うなら。」
あれ?なんかアッサリOKしてくれちゃったんだけど。
言ってみるもんだね。やったー。
「よし、これで3人。あと一人だ。誰誘うかな?誰か誘いたい人いる?」
そう言えばもう一人一緒にやりたい人がいるな。いつも相談しかしてないからな。たまには当事者として巻き込んでみるか。
「俺、誘いたい人いるんだけど。いい?」
「OK。なら優作に任せるよ。海里ちゃんもいい?」
「うん」
よし、なら放課後行ってみるか。
けど、あの人が素直にイエスって言うかわかんないな。いまいちなに考えてるかわかんないんだよな。あの人。
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