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突然屋上へ現れた福本さん。俺も驚いてるが彼女も同じくらい驚いてる。
「美沙紀さんの会う人ってまさか福本さん?」
俺は美沙紀さんを見ると、何故か少しさっきより顔色が悪い。少し青くなっている。
「日下くん、ミサ姉と知り合いだったの?」
ミサ姉?あれ、まさかのこの二人って姉妹って感じではないから幼なじみとかなのかな。
「うん」
「へぇ~・・ミサ姉どこ行くの?」
福本さんの声はいつもより少し圧を感じるが、声のままに美沙紀さんを見るといつの間にか望遠鏡を片付けてこっそり去ろうとしていた。福本さんの声にビクッと反応すると愛想笑いを浮かべている。
「ミサ姉って福本さんも美沙紀さんと知り合いだったんだね。」
「うん、家が近所で昔からよく遊んだりしてたんだ。」
お~まさか星しか興味のないような変わり者の美沙紀さんの友達がまさかの福本さんだったとは、縁ってのは不思議だね。
「ところで日下くんはミサ姉といつから知り合いなの?」
「いつからだったかな~けっこう前からだったと思うけど。いつからでしたっけ?」
思い出して見ようと思ったのだが、なかなか思い出せない。なんか何気ない感じからだった気がするからあんまり印象に残ってないんだよな。美沙紀さんを見ると何故か世界が終わったような青くなった顔で空を見上げている。
どうしたんだ、あの人。
「へぇ~そんな思い出せないぐらい前からだったんだ・・」
福本さんは一歩一歩美沙紀さんの方へと歩みを進める。
「ここにはよく来るの?」
「まぁちょくちょくは来てるよ。いろいろと話聞いてもらってるんだ。ついさっきも・・。」
「よせ、もう何も言うな。」
俺が話している途中に横から美沙紀さんが最後の力を振り絞った感じで俺に何かを伝えようとしている。
が何を伝えたいのかよくわからない。
「へぇ~ちょくちょくね・・。ここには海人くんも来るんだよね?」
「海人は来たことないよ。ってか言ってないから知らないと思う。そう言えば、他の天文部の人も会ったことないからいつもふた・・。」
「よせ~!」
「さっきからどうしたんだよ、美沙紀さん。大声出しちゃって珍しい。」
「へぇ~いつも二人きりだったんだ・・二人だけの秘密の場所ね・・」
福本さんが一歩歩く毎にビクッビクッと震えている美沙紀さんを見ながら、何にそんな怯えてるのか不思議だった。福本さんからはいつもより少し圧を感じるが雰囲気はだいたいいつも同じ優しい感じがしている。
「別に話しちゃまずいことは言ってないだろ。」
「そうよ、ミサ姉。アタシも二人がどんな話してたのか気になるわ。それとも何か聞かれたら困ることでもあるのかしら?」
「ああああああ・・」
福本さんが美沙紀さんの肩に触れると美沙紀さんは大きな叫び声をあげた。
「ミサ姉とちょっと話したいことがあるから、日下くん悪いけど下の部室で待っててくれる」
「俺はいいけど、美沙紀さん大丈夫?」
「ミサ姉は平気だよね?アタシのこと何でも知ってるから。」
「ダメ、ユーサック行かない・・ぐはっ」
「ゆうさく・・そう呼んでるのね。」
初めて美沙紀さんに名前を呼ばれたのだが、甘噛みしたせいで、少しイントネーションが変わった。そして、俺に助けを求めると不意に福本さんに関節技を決められて地面に倒れこんでいる。
「ミサ姉突然大きな声出したらびっくりして、関節技決めちゃったじゃない。日下くん、ちょっと下で待っててくれる。」
一瞬では、あったがいつもとは違う殺意のような気迫を福本さんから感じたので、これ以上は危険だと本能が刺激してきたので、美沙紀さんには悪いがここは逃げよう。理由はよく
わかんないけど、女同士の戦いはこわいって言うからな。触らぬ神に祟りなしだよね。
「俺下で待ってるね。」
下に降りる際にチラッと美沙紀さんを見ると手を伸ばしてこちらに助けを求めていた。
ごめん、美沙紀さん。
俺が下に降りて部室の椅子に座ると上から美沙紀さんの悲鳴が聞こえてきたので、少し身震いする。
あんなに優しいのに、もしかして福本さんって二重人格なのか?
それともこれが本性なのだろうか?まあけど怒らすのはヤバいってことが今回美沙紀さんの生け贄でわかったよ。
怒った理由はよくわからないけど。
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